業界からのメッセージ
- ヘアメイクアップアーティスト iNOMATA
- ヘアメイクアップアーティスト 成田 幸代
- ファッションデザイナー 信太 達哉
- ヘアメイクアップアーティスト 染谷 明彦
- 日本ファッションスタイリスト協会代表 あいざわあゆみ
- ネイルアーティスト 工藤 恭子
ヘアメイクの仕事を始めた頃に先輩に言われた「その人をキレイにしようと思えば、自然と良い仕事になる」という言葉は、今でも大切に守ってます。その人のパーソナルな美しさを上手く引き出すようにするのがヘアメイクの仕事で、似合うように作れないのは僕らが悪い。モデルや服が悪いわけじゃないんです。最初の頃は、カメラのライティングなど懸命にいろんなことを、見よう見ようとしていましたが、そのことがわかってからはファッションの見え方が少し変わりました。もちろん、他の立場からものを見る力も必要ですが。
10代の頃にヘアメイクの授業で、一緒に机を向かい合って並べていた4人の内3人は、今も東京でヘアメイクのアーティストとして活動しているんですよ。一人が頑張れば、他も引っ張られるのかもしれませんね。プロとして仕事を始めた当時、大阪で活動していた20471120の中川(正博)やLICA(現ZECHIAデザイナー)、ミュージシャンの田中知之(FPM)など同世代の仲間たちも、みんな東京で活躍しています。特に(ビューティビーストの)山下君は僕にとってかけがえのない人ですね。
最初にパリコレを経験したのは彼のデビューショーで、まず彼の服に衝撃を受けました。彼とファッションのことを話していると、自分は考えが浅いなぁ、と思いましたね。ヘアメイクの可能性を引き出してくれた人です。今も一緒にコレクションの仕事ができているのは本当に幸せなことです。2009SSの東京コレクションではヘアスタイリングを担当したんですが、山下君が「クラシック」という大きなテーマを出してきて、僕は最初から“寝癖”が頭にあって(笑)。キレイな結い上げじゃなくて、日常のなかでのアップで仕上げました。
ヘアメイクになりたいと思ったのは高校三年生のとき。ただ、小さいころから「顔」が好きで、友達ですごくかわいい顔なんだけど、本人があまり気が付いてなかったりすると、もったいないなぁとか、もうちょっとこうしたらいいのになぁとかよく思っていました。あとは、色を塗ることが大好きでしたね。
最近はヘアメイクといっても、メイクに入る前にマッサージをしたり、ネイルや撮影によってはネイルチップを作ったり、トータル的に要求されることも多い。なかでも一番大切にしているのは、その人に似合っているかどうか。ポイントは「骨格」です。骨格はすべてのベースで、その上にファンデーションというメイクのベースがある。まず、そのベースをきれいに仕上げた上で、眉を描く、アイシャドウを塗る、アイラインを入れる…と続きます。その段階で骨格を無視すると、ものすごく違和感が生まれるんです。特に眉毛は骨格や、さらにいえば筋肉を無視して描くと、笑ったときに大変なことになる。笑うと筋肉が動きますからね。そうならないよう、骨格に沿ったメイクを心掛けています。
ヘアメイクやスタイリストなどファッション業界の仕事を目指す人って、どこか普通じゃいけないみたいに思いがちですが、それって大きな間違い。子どものころ親から教えてもらった、あいさつをしたり、モノを大切にしたり、そういう普通のことが一番大切なんだと思います。素直にごめんなさいと謝るとかって、意外と大人になってもできなかったりしますよね。そういうことがきちんとできれば、そこから自分が次にやるべきことに気付いて、行きたい道にまっすぐ進んでいけるような気がします。
現在、『SHIDA TATSUYA』のデザインから製造までを行い、東京や地方のセレクトショップや百貨店に卸しています。現在のブランドは「立ち上げよう」と意気込んでスタートしたものではなくて、自然な流れで生まれました。もともと、専門学校を卒業して就職した繊維会社で、生地の営業や販売をしながら、展示会にオリジナルで作った洋服をプレゼンテーションしていました。そこで自分で作った洋服が少しずつ周囲に認められ、お店に置いてもらえるようになり、4年間勤めた会社を辞めてデザイナーとして独立を決意したんです。
昔から自分が作りたい洋服を作ってきたので、ブランド自体には特にテーマを設けていません。日常生活で感じたことが頭の片隅に残っていて、それが制作時にデザインに落とし込まれる感覚です。2011年春夏シーズンの東京コレクションでは、フランス・パリの雰囲気を表現しました。展示会でフランスに行っていたのですが、印象に残ったパリのレトロなイメージが記憶に残っていたのだと思います。そうやって自分のなかで印象に残ったことを、洋服で表現できることに、やりがいを感じています。
この仕事を続けていくためには、売れるものを作らなければならないという難しさもありますが、オリジナリティが大切です。例えば、生地や素材、テーマを変えても「あの人のデザインだ」ってわかってもらえる。そんなデザイナーが育って欲しいですね。学校で基礎を覚えることは必要ですが、学校以外でも常に洋服を意識してセレクトショップを回って、様々なブランドの商品を見て、身につけて、いろいろなスタイルを知る。また、海外で文化や生活習慣に触れて視野を広げるのもいいと思います。そうやって「何かを得たい」という気持ちを持ち続けることが重要。あまり人と比べないで、自分が作りたいものを楽しく作り続けていってほしいと思います。
僕はもともとヘアメイクアーティストになろうと思っていたわけじゃなかったんですよ。ヘアサロンをやっていて、そこで働いていた女の子がヘアメイクの仕事がしたいと言い出して、「じゃあ、やろうか!」と(笑)。それが38歳の時ですから、この業界では珍しいですよね(笑)。転機はパリでヴァレンティノのショーの仕事をしたこと。ヴァレンティノのプレスの方から東京で行うショーのヘアメイクを頼まれて、今度はそのショーを見た方と名刺交換をして…といった具合に人と人のつながりで仕事が広がっていきました。
今はショーの仕事以外に6店舗のサロンをやっていますが、今後やりたいことがいくつかあって、そのひとつが教育。ゼロから苦労する必要はないと思っていて、できるところはショートカットし、限られた時間のなかで最大限の効果が得られるような合理的な教育のシステムを構築できたらと考えています。ヘアスタイリング(美容師)カレッジには、期待と注目をしています。従来の美容専門学校は「美容師の国家資格」に対する対策が中心になっていますので、ヘアメイクの様々なスキルや現場直結のサロンワーク、考え方・意識・コミュニケーションなど、本来の現場で一番必要な勉強が出来るところは非常に魅力的だと思います。サロンではウィッグはあまり使いませんが、ショーの現場ではショートヘアのモデルをロングに見せたり、髪を切らずにパツンとした前髪を作って欲しいと頼まれることがあります。ちょっとしたマジックですよね。そういうプロのテクニックを実地に習得できる場にしたいと思っています。
多くのプロがお互いの感性やアイデアを持ち寄ってひとつのものを作り上げる作業というのはやはり楽しいものです。でも、妥協は許されないし、常に真剣勝負の厳しい仕事でもある。好きなら「とことんやる」。この姿勢が大切です。
ファッション業界で求められる人材は、現場に合わせて、人を見て、動ける人。スタイリストやヘアメイクといったアーティストのマネジメントを手掛ける仕事をして約20年になりますが、それはあまり変わってないように思います。もっというと、ファッションはライフスタイルの一部でカルチャー=文化だから、服が好きなだけでなく、音楽だったり、いろんなことに興味があったほうがいい。
ただこれからはスタイリストにしてもヘアメイクにしても、トータルでプロデュースできる能力が絶対必要になってくるでしょうね。スタイリストがスタイリングできるのは当たり前、プラス、企画書が書ける、あるいは実際に企画力がある。たとえば雑誌なら、特集の企画的に自分のスタイリングを提案できたり、ページのラフデザインが描けるというような…。ただ言われたことをやるんじゃなくて、そうしたプラスαがないとダメになってきているように感じます。
では、そのために何をすれば良いのか。まずは自分の得意不得意を知ること。得意なことを伸ばしていけばいいと思うんです。スタイリストになりたいんだけど、実は本が好き、であれば書くことに挑戦してみるとか。厳しいようですが、プロって上手な人の集まりだから、苦手なことを克服してがんばろうというのは通用しにくいんです。
昔に比べれば、ファッション業界を目指す人たちは「好きなことを仕事にしたい」という思い以上に「この仕事で自立する」という意識が強くなっているように感じますが、やっぱり仕事を長く続けるには「好き」が絶対条件。長くがんばっているのは、この仕事以外は考えられないという人たちですね。
ネイリストを目指すまで、美術の先生になりたくて大学に通っていました。20代の前半に本当にその環境に自分が合っているのか悩んで、“好きなことを仕事にしよう”と決めました。何か新しいモノを身につけるのではなくて、今好きなことを仕事にするのが一番良いのではと。その時に本当に好きだったネイルの先生になりたいと思いました。自分の得意なジャンルで誰かを育成したいというベクトルは、美術の先生を目指していたのと同じですね。
ネイリストとして重要なのは、情報があふれる現代社会でその情報をうまくコントロールして、自分の目で見て感じたことを大切にする力です。洋服を見て可愛いなって思ったその柄や、風景を見てきれいだなって思ったものは、ネイルに活かせるんです。日々の中での「気付き」が大事で、接客をしている時にだけデザインのことを考えるのではなくって、毎日の積み重ねがネイリストとしてのオリジナリティを生み出します。雑誌などを真似していても、そこから上には上がれないので、常日頃から“特訓“して、自分から発信すること考える。
在学中に必要なことは、まず目標を紙に書き出すことです。自分がこうなりたいというのを、自分が最も輝いている状態を想像して具体的に書いて、その道順のスケジュールを立てる。検定に合格してサロンに就職したいと思っているなら、それまでに何人のモデルをこなせば自信がつくかなど、そういうことを具体的に数字に置き換えて、答え合わせしながら、確認しつつ進む。
意識が変わったら行動が変わる。行動が変わったら必ず結果がついてくる。だから結果を求めるのではなくて、まずは意識を変えることが大事だと思います。好きだからできる努力っていうのは、だれにもあると思います。有言実行ですね(笑)。








